サンライズの予約

9日の金曜日の夜からサンライズに乗って、岡山で降りて、そこから広島へ行こう!」と決めたとき、頭の中ではすでに旅が始まっていた。
夜の東京駅、ホームに入ってくるサンライズのライト、ゴトゴトと揺られながら目を閉じれば、目を開けた頃にはもう西日本――そんなイメージを何度も思い浮かべていたのに、現実は無情で「空席なし」の文字ばかり。
YouTubeで「サンライズはなかなか予約が取れない」と聞いて、覚悟はしていたはずだった。
それでも、いざ自分がやってみて全然取れないと、「そんなに人気なの?」と、ちょっと笑えて、ちょっと泣きたくもなる。
「早めに取ればよかった」の小さな後悔
「もっと早く動けばよかったな」と思う気持ちは、画面に表示された満席マークを何度も見たからこそ、じわじわと胸に広がってくる。
サンライズの予約は乗車日の1か月前、午前10時に一斉スタートで、金曜夜発はとくに競争が激しいのだという。
仕事や日々の用事に追われていると、「そのうち」「あとで」と思っているうちに、気がつけばチャンスの時間が過ぎていたりする。
「早めに取っておけばよかった」は、サンライズだけじゃなく、これまでの色々な場面にも重なって、小さくため息をつきたくなる言葉だ。
旅に出られないなら、家を整える旅へ
「取れないなら取れないで、家の掃除もしなきゃいけないし…」と、現実的な自分が顔を出す。
壊れてしまったお風呂のタオルを置く棚をなんとかしないと、毎日の生活がちょっと不便なまま続いてしまう。
サンライズで西へ向かう代わりに、この週末は家の中を少しだけ整える旅に出るのも悪くない。
ほこりを拭き、いらない物を捨てて、新しい棚を用意したら、それはそれで「暮らし」が少し軽くなる、自分のための小さなリニューアルだ。
それでも心は、西へ西へ
とはいえ、心のどこかは、まだ西に向かっている。
広島、岡山、その先の長崎まで伸びていく線路を、想像の中でたどってしまう自分がいる。
「長崎まで行っちゃおうかな」と一瞬思ったけれど、弾丸で長崎から関東に帰ってくる体力を思うと、「さすがにそれはきちいな」と、現実の自分がブレーキをかける。
若い頃のように「とりあえず行っちゃえ!」だけでは動けなくなってきた自分も、少し切ないけれど、ちょっといとおしい。
今、はっきり浮かぶのは厳島神社だけ
「どこに行こうかな?」と考えたとき、今のところ、はっきりと浮かんでくるのは広島の厳島神社だけ。
海に浮かぶような朱色の社殿、大鳥居、そこへ渡るフェリー、潮の満ち引きで姿を変える風景――そんなイメージが一枚の写真のように心の中に貼り付いている。
長年「いつか行きたい」と思っている場所は、他にもいくつもあるはずなのに、今このタイミングでくっきり出てきたのが厳島神社だということが、ちょっと不思議で、なんだか運命のようにも感じる。
名古屋からでも日帰りで行って満喫できたという体験談があるくらいだから、広島拠点にすれば、自分のペースでゆっくり楽しめるはずだ。
サンライズが教えてくれた「また今度」
今回のサンライズ予約は、ご縁がなかった。
それでも、「ああ、やっぱりどこかへ一人でふらりと行きたいんだな」と、自分の中の旅ごころを再確認できた時間でもあった。
「また今度、もっと早く動いて取ればいい」
そう思えたら、キャンセル待ちに賭けるよりも、次のチャンスに向けて体力と気力を温存しておくほうが、今の自分には合っているのかもしれない。
次の一歩は、「厳島神社を軸に考える」
今はまだ、「厳島神社しか思いつかない」と感じているけれど、それは裏を返せば、ここだけはブレずに行きたい場所だということ。
世界遺産であり、日本三景の一つでもあるその場所は、潮の時間を少し気にしながら行けば、海に浮かぶような社殿の姿も、潮が引いたときの表情も、両方味わえる。
サンライズに乗れるかどうかは、これからの「また今度」の課題としてそっと置いておく。
とりあえず今は、壊れた棚を直しながら、サンライズで岡山へ行って、そこから広島、そして厳島神社へ向かう自分の姿を、もう一度ゆっくり思い描いておくことにしよう。

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